はじまりのとき
海外転勤なんて、珍しくはない。
でも、自分とは無縁だと思っていた。
それが、2017年の11月初旬、たしか祝日の朝。
「ねぇ、シンガポールに行くのどうかな?」と突然の夫の一言。
子育てを始めてから、夫と私の繁忙期が異なるために、海外旅行には何年も行っていなかった。
なので、少しばかり寝ぼけた頭で「いーねー。」って気軽に答えてしまった。
それが、なんと海外赴任だったとは。
私は自分の仕事が大好きで、正直、夫の仕事には関心がなかった。
なので、夫の会社の組織図も知らなかった。
シンガポールがアジア本社で、日本は支社に過ぎなかったことをそのときに始めて知った。
そうなると、一応昇進?となるらしく、彼にとって、外資系での今後のキャリアを考えると、行く、行きたいという選択に間違いはなさそうであった。
子どもを考えたとき、小学校入学前なのも良い時期であった。
海外での経験が将来を考えたとき、良い経験になるのに、間違いなさそうだ。
問題は、私の仕事だけだった。
出産をしても退院をしてすぐに働き始めるくらい、自分の仕事が大好きで、ずっと続けたいと思っていた。
そこから一ヶ月以上、私は悩み続けた。